人々の不幸の度合いがもっとも端的にわかるのが自殺率です。さまざまな事情はあると思いますが、生きることより死ぬことを選ばざるを得ないなんてやはりとても悲しいことです。
ここでは地域や職業、年齢、性別、配偶関係などによる自殺率の違いを見ていきます。
また、自殺の原因や手段、時間帯、曜日などによる違いも示しています。
あまり見たくないデータかもしれませんが、多くの人が現実を知ることが悲劇を減らすことにつながるかもしれません。
年間2万人以上と決して少なくない人たちが選んでしまう道です。他人事と考えてしまうのはよくないでしょう。
参照
- 警察庁
- 厚生労働省
- 内閣府
- 一般社団法人日本いのちの電話連盟
もくじ
都道府県自殺率ランキング トップは山梨県
都道府県でどの程度自殺率に違いがあるのでしょうか。人口10万人あたりの自殺者数をランキングにしました。
人 | |
0 | 28 |
1山梨県 | |
2青森県 | |
3和歌山県 | |
4岩手県 | |
5新潟県 | |
6秋田県 | |
7福島県 | |
8佐賀県 | |
9高知県 | |
10北海道 | |
11栃木県 | |
12三重県 | |
13大分県 | |
14群馬県 | |
15宮崎県 | |
16山形県 | |
17岐阜県 | |
18長崎県 | |
19兵庫県 | |
20福井県 | |
21静岡県 | |
22鹿児島県 | |
23宮城県 | |
24長野県 | |
25福岡県 | |
26埼玉県 | |
27富山県 | |
28愛媛県 | |
29島根県 | |
30東京都 | |
31千葉県 | |
32奈良県 | |
33香川県 | |
34滋賀県 | |
35茨城県 | |
36広島県 | |
37山口県 | |
38沖縄県 | |
39熊本県 | |
40大阪府 | |
41愛知県 | |
42鳥取県 | |
43石川県 | |
44岡山県 | |
45京都府 | |
46神奈川県 | |
47徳島県 | |
0 | 28 |
都道府県自殺率マップ
1位の山梨県(24.8人)と最下位の徳島県(12人)では2倍以上の差があります。
ちなみに人口10万人中の自殺者数の全国平均は16.5人です。
世界の自殺率ランキングで日本は上位、先進国ではトップ
G20とOECD加盟国を対象とした世界の自殺率ランキングでは日本は上位にランクインします。
さらに先進7カ国(G7)の中ではトップという不名誉な結果に。
詳しくはつぎの記事で紹介しています。
世界各国の自殺率ランキング 日本は先進国(G7)でトップ自殺者数の推移-近年は減少傾向
自殺者数と自殺率の推移です。
自殺者数の推移(人)
自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)の推移(人)
自殺者数は1990年代後半くらいから増加傾向で3万人超えが続いていました。ピークは2003年の34,427人です。しかし2010年代より減少に転じ、直近では1990年代前半の水準まで下がっています。
1990年代からの長引く景気低迷に合わせて増え、失業率が回復してきた2010年代に減っています。このことから自殺者数は景気や失業率とも大きな相関があることがわかります。
自殺者の男女比-男性が女性の2倍以上
自殺者の男女比です。
自殺者の男女比(2018年)
自殺者の男女比は男7に対して女3となります。2.3倍ほど男性の自殺者のほうが多いのですね。
年齢別自殺率は50代と80代
年齢別の自殺者数・自殺率です。
人 | ||||||||
4,000 | ||||||||
2,000 | ||||||||
0 | 10~ 19歳 |
20~ 29歳 |
30~ 39歳 |
40~ 49歳 |
50~ 59歳 |
60~ 69歳 |
70~ 79歳 |
80歳 以上 |
人 | ||||||||
24 | ||||||||
12 | ||||||||
0 | 10~ 19歳 |
20~ 29歳 |
30~ 39歳 |
40~ 49歳 |
50~ 59歳 |
60~ 69歳 |
70~ 79歳 |
80歳 以上 |
自殺率は50代が22.3人、ついで80代が20.7人となっています。50代は仕事での管理業務など、社会的に大きな責任がのしかかる時期。加えて教育費など経済的な苦悩が重なることもあります。悩みも増えるのでしょう。退職後60代で自殺率は少し減りますが、その後健康問題の悩みが増加し、再び自殺率が高くなるのだと考えられます。
10代はほかの年代と比べて圧倒的に少ないです。
一方、15歳~39歳までの死因は自殺がトップとなります。逆にいえば、15歳~39歳まではほかの原因(特に病気)での死亡率が低いということです。
死因ランキングはこちらの記事で紹介しています。
年齢別死因ランキング 病気、事故、自殺、他殺ほか職業別自殺率は無職が圧倒的
職業別の自殺率ランキングです。
人 | |
0 | 60 |
1無職者(非求職者) | |
2失業者(求職者) | |
3土建業 | |
4管理的職業 | |
4労務作業者 | |
6飲食業 | |
7保安従事者 | |
8全人口平均 | |
9ドライバー | |
10医療・保健職 | |
11技能工 | |
12営業・販売 | |
13学生 | |
14教員 | |
15遊技場等店員 | |
16主婦(主夫) | |
17事務員 | |
0 | 60 |
便宜上分けていますが、無職者(非求職者)が55.2人で1位、失業者(求職者)が43.7人で2位と、職についていない人の自殺率が高いという結果になりました。
なお、無職者(非求職者)には退職後の高齢者も含んでいます。
土建業や管理的職業(会社、団体、行政機関等での課長以上の役職者、役員)、労務作業者も意外と多めですね。
反対に、自殺率の低い職業は事務員(4.6人)、主婦(5.3人)、遊技場等店員(5.9人)となりました。
自殺原因の最多は健康問題
自殺の原因ランキングです。
人 | |
0 | 15,000 |
1健康問題 | |
2経済・生活問題 | |
3家庭問題 | |
4勤務問題 | |
5その他 | |
6男女問題 | |
7学校問題 | |
0 | 15,000 |
次点の経済・生活問題にトリプルスコアの差をつけて健康問題が1位になりました。
そのあと、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題と続きます。
自殺原因-若年層は学校問題、高齢者層は健康問題
年齢層による自殺原因の違いをみてみましょう。
% | |||||||
100 | |||||||
50 | |||||||
0 | 健康問題 | 経済・生活問題 | 家庭問題 | 勤務問題 | その他 | 男女問題 | 学校問題 |
健康問題は40代以上で多くなっています。経済・生活問題は50代、勤務問題は20~50代、男女問題は20~40代、学校問題は10~20代が顕著に多いです。
子どもの自殺が一番多い日は夏休み明けの9月1日
なんとも衝撃的で悲しいデータです。18歳以下の子どもを対象とした日別の自殺者数のグラフです。
18歳以下の日別自殺者数(内閣府、厚生労働省、平成27年版自殺対策白書、過去40年間分)
夏休み明けの9月1日がダントツで多くなっています。ついで春休み明けの4月初旬となります。ゴールデンウィーク明けも増える傾向にあるのが分かります。
年齢や立場を問わず自殺は悲しい出来事ですが、子どものそれはいっそう辛いですね。
しかしある程度時期が決まっているということは、事態を想定して対策が立てやすいのだとも考えられます。
周りの大人は十分注意して寄り添ってあげてほしいです。
そして悩んだり苦しんだりしている学生のみなさん、つらい思いをしてまで学校に行く必要はまったくありません。嫌なことからは逃げたっていいんです。
今は目の前の現実が実際よりも大きく見え、圧倒的な絶望を感じているのかもしれません。でも学校での生活や今置かれている状況は実は取るに足らないとてもちっぽけなものなのです。
こんな小さな現実と正面から向き合う必要はありません。つらいのなら全力で逃げましょう。闘うより逃げるほうが未来が拓けることも多いです。みなさんにはとてもたくさんの可能性があるのだということを忘れないでください。
配偶関係による自殺率
独身者(未婚・死別・離別)と有配偶者ではどのような違いがあるのか見てみましょう。
人 | ||||||||
130 | ||||||||
65 | ||||||||
0 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 |
未婚 | 有配偶 | 死別 | 離別 |
やや意外な結果かもしれませんが、自殺率の低い順に有配偶者、未婚者、死別者、離別者となります。
詳細は下記で紹介しています。
独身vs既婚vs離婚 配偶関係別の死亡率 衝撃の現実を示すグラフ大公開自殺した場所は自宅が多い
場所は自宅が一番多いという結果となりました。
人 | ||||||
12,400 | ||||||
6,200 | ||||||
0 | 自宅等 | その他 | 高層ビル | 乗物 | 海・湖・川等 | 山 |
自殺の手段は首つり
圧倒的に首つりが多いです。
人 | |||||||
13,600 | |||||||
6,800 | |||||||
0 | 首つり | その他 | 飛降り | 練炭等 | 飛込み | 服毒 | 不詳 |
時間帯別自殺者数
深夜0-2時と昼の12-14時の自殺率が比較的高いです。
人 | ||||||||||||
34 | ||||||||||||
17 | ||||||||||||
0 | 0 – 2 時 |
2 – 4 時 |
4 – 6 時 |
6 – 8 時 |
8 – 10 時 |
10 – 12 時 |
12 – 14 時 |
14 – 16 時 |
16 – 18 時 |
18 – 20 時 |
20 – 22 時 |
22 – 24 時 |
曜日別自殺者数
月曜日の自殺率が高いのがわかります。
人 | ||||||||
3,400 | ||||||||
1,700 | ||||||||
0 | 日曜 | 月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | 不詳 |
自殺未遂経験の有無
自殺未遂経験がない人のほうがある人よりも3倍以上多いです。
人 | |||
13,200 | |||
6,600 | |||
0 | あり | なし | 不詳 |
同居人の有無
同居人がいる人のほうがいない人よりも2倍以上自殺しやすいという結果です。
人 | |||
14,000 | |||
7,000 | |||
0 | あり | なし | 不詳 |
自殺率ランキングまとめ
多くの人は自殺という悲しい現実に対して、いまいちリアリティを持っていなかったのではないでしょうか。しかし、ここに示した数字の分だけ、現実に自ら命をたってしまう人たちがいるのです。
きっと本人だけではどうしようもないほどの絶望感に包まれていたのでしょう。
幸いにも自殺という選択からは縁遠い状況の人たちこそ、この現実を真剣に考えるべきなのかもしれません。
配偶者がいる方が自殺しにくいが、同居人がいた方が自殺しやすいとは。
親など配偶者以外との同居が辛いのだろうか。
女性は独身子どもなしの幸福度が一番高いらしいけど。
自殺率の低い層と幸福度の高い層は一致しないかも。