独身vs既婚vs離婚 配偶関係別の死亡率 衝撃の現実を示すグラフ大公開

ひと昔と違い、生涯独身でいることや、離婚、再婚があたりまえの選択肢となって久しい今日。独身者と既婚者どちらが幸せか、配偶者の存在は死亡率に影響するのか、などがしばしば話題になることがあります。

独身者のほうが病気になりやすかったり自殺しやすかったりするので死亡率が高い、という説もよく耳にします。

では実際のところ独身者と既婚者を比較した場合、どちらがどのくらい死亡率が高いのでしょうか。

そもそも、「独身者」と「既婚者」の2つを比べるだけで本当に実態が分かるのでしょうか。

ここではそんな疑問を解くため、公的機関の公開データを用いてさまざまな角度から配偶関係別の死亡率を明らかにしました。なかなか興味深い結果となったので、ぜひ覗いてみてください。

参照

  • 人口動態調査(厚生労働省、2017年)
  • 国民生活基礎調査(厚生労働省、2017年)
  • 平成27年国勢調査(総務省統計局)

配偶者の有無による死亡率の違い

単純に配偶者の有無によってどのくらい死亡率に違いがあるのかを、「独身者」と「有配偶」に分けて比較しました。

該当する配偶関係の人口10万人あたり、何人が1年間に死亡したのかの比較です。

つまり、独身者の死亡率は「独身者の死亡者数/独身者の人口×10万人」で表しています。

対象の年齢は25歳から44歳までです。それ以外の年齢層(10代を除く)の比率もおおむね同じになります。

配偶者有無による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
760
752人
289人
40人
29人
380
0
独身者 有配偶

ひと目で明らかなように、男女とも独身者のほうが圧倒的に死亡率が高いです。女性は10倍男性は約20倍も違います。

これだけをみると、独身者のほうが死亡率が高いという通説が完全に正しいといえそうです。

しかし、独身者の中でも死別や離別(離婚)で配偶者をなくした場合はどうなるのでしょうか。

未婚・有配偶・死別・離別での死亡率比較

独身者を「未婚」「死別」「離別(離婚)」に分解して比較してみます。

未婚・有配偶・死別・離別それぞれについて、該当する配偶関係の人口10万人あたり、何人が1年間に死亡したのかを比較しました。

たとえば、離別した人の死亡率は「離別した人の死亡者数/離別した人の人口×10万人」で表しています。以降も同じ算出方法です。

未婚・有配偶・死別・離別による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
350
110人
61人
40人
29人
294人
108人
347人
120人
175
0
未婚 有配偶 死別 離別

こちらは一転、単純な既婚、未婚の比較とは違う印象を受けますね。

もっとも死亡率が低いのが配偶者ありの人という点は同じですが、次に低いのが意外にも未婚者となりました。

そして死別、離別をした人の死亡率が男女ともに圧倒的に高くなっています

男性の場合、配偶者ありと離別者の死亡率の差は8.7倍にもなります。

結婚をしている人と、結婚をしたあとに配偶者と別れた人では死亡率がこんなに両極端になるなんて驚きです。

配偶者を失って生きる気力がなくなってしまうのでしょうか。それとも食事など環境の変化が影響しているのでしょうか。

死因別の死亡率比較

それぞれの配偶関係における死因別の死亡率です。

特に死亡者数の多い「がん」「糖尿病」「脳血管疾患」「不慮の事故」「交通事故」「自殺」について比較しました。

がんによる死亡率(10万人あたりの死亡者数)
80
14人
20人
10人
15人
80人
35人
39人
34人
40
0
未婚 有配偶 死別 離別
糖尿病による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
8
1.25人
0.55人
0.11人
0.03人
6.14人
0.00人
3.68人
1.87人
4
0
未婚 有配偶 死別 離別
脳血管疾患による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
22
8人
3人
3人
2人
12人
4人
21人
7人
11
0
未婚 有配偶 死別 離別
不慮の事故による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
30
10人
3人
4人
1人
18人
2人
30人
9人
15
0
未婚 有配偶 死別 離別
交通事故による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
14
3.74人
0.77人
2.32人
0.38人
12.27人
2.16人
13.56人
1.87人
7
0
未婚 有配偶 死別 離別
自殺による死亡率(10万人あたりの死亡者数)
130
35人
13人
12人
5人
110人
39人
130人
32人
65
0
未婚 有配偶 死別 離別

おおむね、死因別の比率も全体の比率と同じです。死別者と離別者の死亡率が未婚、有配偶者に比べてとても高いです。

特に糖尿病による死亡率で大きな差が見られます。男性の場合、有配偶者を基準とすると、死別は58倍、離別は33倍、未婚でも11倍もの差があります。

いっぽうで、死別者と離別者いずれにしても、男性のほうが女性より影響を受けることも確認できます。

別れることによって食事などによる健康管理がされにくくなり、結果として死亡率に大きく影響するのではないかと考えられますね。

人数的には自殺が一番多いです。自殺については下記の記事に詳しく紹介しています。

自殺率ランキング 都道府県、職業、年齢、男女などで徹底比較

配偶関係別の死亡率まとめ

実際のデータを見ると、世間で漠然と抱かれるイメージと違う部分もあったかと思います。

有配偶者が一番死亡率が低いのは間違いないですが、別れてしまうと一気に死亡率が高まります。このリスクを考えた場合、未婚というのはある意味安定しているともといえますね。

また、死亡率と幸福度(不幸度)は必ずしも相関しているとはかぎりません。さまざまな責任と抑圧の中で苦しい人生を長く生きる人もいれば、自由を謳歌し、太く短い生涯を送る人もいるでしょう。

いずれにしてもたった一度の人生、なるべく後悔しない生き方をしたいですね。この記事が人生設計における何らかの参考になれば幸いです。

2 COMMENTS

岡本五十雄

私は医療関係の仕事をしています。とても参考になりました。私も以前から、離婚後の男性が様々な疾患に罹ったり、交通事故にあったり自殺したりする人が多いことがわかっていましたが、最近のデータがなかなか見つかりませんでした。
 現在、自殺について調べているところですが、とてもわかりく参考になりますので、
文章やグラフ(疾病を含めて)について出典を明らかにして、メールで友人に紹介したいと思っています。
 誠に勝手な申し出ですが、ご許可頂ければ幸いです。

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管理人

ご関心を持っていただきありがとうございます。もちろんご紹介いただいて構いません。

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